vol.9 楽しいキッチン造り
毎日過ごす「キッチン」を、理想のスペースにしたい。そんな願いを実現できるのが、注文住宅です。
料理を仕事にする私にとって、オーダーキッチンはずっと憧れでした。昔から「自由に作れるなら?」という空想を幾度となく繰り返していました。
木でつくったナチュラルな雰囲気のキッチン、ラフな素材のメンズライクなキッチン、白で統一したシンプルなキッチン、オールステンレスの厨房みたいなキッチン…。うーん、どれも魅力的!
娘とも余裕で並べるキッチン。一緒に料理やお菓子づくりを楽しんでいます。
家を建てるにあたって考えたキッチンのコンセプトは、「使いやすくて清潔感を保て、アシスタントさんが入った場合も動線がよく、いるだけで気分があがるスペース」。ちょっと欲張りでしょうか?(笑)
カフェの営業許可を取得したかったので、システムキッチンを導入するのではなく、ゼロからの設計になりました(都道府県によって条件は異なりますが、二層式シンクなどが必要なため)。
完全オーダーメイドなので、作業台の高さやシンクの位置、引き出しの深さも全て自分で決められます。
「図面を書いてくれたら、その通りに仕上げますよ!」と頼もしい言葉をいただいたものの、図面なんて書いたことありません。お願いすることも出来ましたが、せっかくの機会です。タカキホームから本を借りたり(事務所にはたくさんの住宅関連の雑誌や書籍があります)、ショールームに行ったりしながら、試行錯誤でイメージをつくっていきました。
最終的に、丈夫で作業性の高いステンレス素材でプロフェッショナルな雰囲気にしつつ、壁はタイル貼りで個性を出すことに決めました。
作業台の高さ:一般的に「身長÷2+5㎝」が使いやすい高さだそうです。ショールームに行くと、いろんな高さのキッチンがあるので、実際に立ってみて決めるのがおすすめです。常にスリッパを履く方は、愛用のスリッパを持参してショールームに行くと、いいかもしれません。
身長159㎝の私は、シンク側は85㎝に、コンロ側は鍋をのせた時の高さを考慮して80㎝にしました。
引き出しの深さ:持っている調理道具を全て書き出して、どこに収納するかを決め、その高さに合わせて設定しました。この作業で調理道具の整理ができ、断捨離にもつながりました。
メイン素材:ワークトップ、シンクなど、見える部分はステンレスで統一。最近人気だという「バイブレーション」仕上げをお願いしました。よく見かける「ヘアライン仕上げ(髪の毛のように細い線が連続する柄)」と比べ、円を描いたような柄なので、マットな質感なのと傷が目立ちにくいことが特徴です。
コンロ:3口のガスコンロで、掃除がしやすく清潔感を保てる。特別な機能は不要で、火力が安定していればOK。これを条件に選びました。仕事柄、コンロは非常に重要なアイテム。使い勝手によって、スピードもおいしさも変わります。とはいえ、予算があるので、そこも悩みどころ…。
各メーカーのショールームを巡ってじっくり吟味した結果、選んだのはこちら。ガラストップはサッと拭けばすぐきれいになるし、見た目も清潔感があります。シンプルで機能的なところも、気に入っています。
今はレンジフードも進化していて、見た目がよく、掃除もラクなものが次々出ています。存在感があるので、キッチンに馴染むデザインを選びました。
食洗機:実はこれまで食洗機を使ったことがなく、「手で洗った方が早い」と思っていたのですが…あると本当に便利です。魚焼きグリルやゴトクも手洗いよりピカピカになるし、ザルの細かい網目もすっきりキレイ!国内メーカーの深型タイプを導入しましたが、家事の時短におおいに役立っています。
キッチンについては、一番悩んだ場所。まだまだ書きたいことがあります。
次回はキッチンの収納について、お話しします。
渡部和泉 わたなべ いずみ
ライター、フードコーディネーター、国際中医薬膳師。 著書に「季節の手づくりジャムの本」、「家族ではじめる、小さなカフェ」などがある。東京の郊外に建てたWBハウスで、月に1日だけオープンする「cafe mel」を営む。https://www.facebook.com/welcome.cafemel/