建築家とともにリノベーション
骨董品店オーナーのアトリエ兼自宅
vol.18 杉並区Sさま邸
どっしりした時代簞笥や古伊万里の大皿、繊細な織模様のラグといった骨董品がそこかしこに配された、ギャラリーのように洗練された空間。今回お伺いしたのは、港区で骨董店『大蔵オリエンタルアート』を営むSさまご夫婦のアトリエ兼ご自宅です。写真の1階リビングは、撮影スタジオとしても利用されています。
以前は店舗近くのマンションで暮らしていらっしゃいましたが、ご主人のご実家である一軒家を受け継ぎ、大幅にリノベーション。2022年2月、こちらに住まいを移しました。
「家の温熱性能が高く、冬は温かく夏は涼しい。小型エアコン1台で充分です。家が快適すぎて、旅行に出ても早く帰りたくなります」という奥さまの言葉に、ご主人も「テラスでBBQをしたり、家庭菜園をはじめたり、一緒に料理をつくったり。娘も含め、家族の時間がより豊かになったよね」と笑顔で返します。
公私におけるパートナーのおふたりは、考え方もセンスもぴったり。家づくりにおいても、意見が食い違うことはほぼなかったそう。
「実はリノベーションすることを決めてから多くの建築家の方に相談したのですが、中々しっくりくる方と出会えなかったんです。探しはじめて1年経った頃、近所で開催されていた『HAN環境・建築設計事務所』の設計したオープンハウスがとてもすてきな家で。代表の松田さんの朴訥で親しみやすい人柄にも惹かれ、お願いしようと決めました」とSさま。
施工会社は3社がプレゼンをした中、これまでの実績と誠実な姿勢が気に入り、『タカキホーム』を選んだとのこと。
「タカキホームはスタッフ皆さんレスポンスが早く、常にポジティブ。自分たちでは気付けない各種補助金制度を提案してもらえたのもよかったですね。家の定期点検やアフターメンテナンスもしっかりしているので、この先も安心して暮らせます」と話されます。
Ideas
骨董のある暮らしを楽しむコツを、Sさまに教えていただきました
【軽やかさと組みあわせる】
すべてを骨董にすると重たく暗い印象になるので、面積の広い壁と天井は淡いグレージュで統一。壁にかける絵の額縁は、デコラティブなものよりシンプルな方が、バランスがとれます。
骨董×モダンの組合せ。ダイニングの照明は、デンマークのブランド『ルイスポールセン』のペンダントライトを。無塗装の真鍮と乳白色のガラスが骨董と馴染みます。
【遊び心をもつ】
古い欄間を縦にして、キッチンとのパーティションにアレンジ。空間をゆるやかに区切ります。
トイレ内の洗面台は、小簞笥をリメイクしたもの。洗面ボールには伊万里鉢を利用。引きだしにはトイレットペーパーなどを収納しています。
テラスにも木製のアンティークトランクを。骨董をカジュアルに楽しむ様子が伺えます。
ワイングラスの並ぶ棚は、内側にバーライトを設置し、非日常感を演出。
【布ものをプラス】
玄関マットには中国の古い緞通(だんつう)を。空間が引き締まります。
簞笥の上には、着物の帯を敷いて。昔の帯は華やかながら落ち着いた風合いのものが多いので、テーブルランナーとして利用するのにぴったり。
【引き算の美学】
「飾りすぎない」のも大切。余白をつくることで、それぞれのアイテムが引き立ちます。
2階にあるご夫婦の寝室。落ち着いたトーンで統一した、「静」の空間です。
【Before→After】
3部屋に分かれていた1階エリアは、壁を抜いてひと部屋に。愛犬のメイちゃんも広い部屋でうれしそうです。
Ideas
建築家を探していた1年の間に、リノベーションのアイデアをコツコツとストックしていたSさまご夫婦。松田さんは「おふたりの中でイメージが完成していたので、私はそれを具現化したまで」と謙虚に話しますが、施主との話し合いと熟考を重ね、「住み手の希望」「美しさ」「性能」すべてを実現する家づくりは、『HAN環境・建築設計事務所』が得意とするところ。「松田さんは柔軟な方で、私たちのアイデアをきちんとくみ取ってくれました。プライベートはもちろん、仕事場としても理想的。『骨董品がある生活』をリアルに提案できるようになったので、お客さまも喜んでくださいます」と奥さま。その様子はインスタグラムで紹介されています。ご夫婦のお店『大蔵オリエンタルアート』では、日常使いのできる骨董品を販売しています。骨董を取り入れたインテリアコーディネートの提案も可能とのこと。ご興味のある方はぜひ一度お店へ足を運んでみてはいかがでしょう。朗らかでやさしい笑顔のSさまが出迎えてくれます。
大蔵オリエンタルアート
東京都港区麻布台3-3-14
TEL 03-3585-5309
営業時間はInstagramにてご確認ください
https://www.okura-art.com
https://www.instagram.com/okuraorientalart
about
the Architect
建築家
松田 毅紀さん
まつだ たけのり
一級建築士
HAN環境・建築設計事務所代表。
戸建て住宅、集合住宅、施設などの設計を幅広く手掛ける。建主との会話を大切にし、要望をしっかり受け止めたデザインを提案。住む人が心から“居心地がよい”と思える家づくりを目指す。
HAN環境・建築設計事務所
杉並区Sさま邸
リフォーム
構造 軽量鉄骨造
地上2階建て
延床面積 152.97㎡
完工時築年数 築28年
設計 HAN環境・建築設計事務所
施工 タカキホーム
取材・文
渡部和泉 わたなべ いずみ
ライター、フードコーディネーター、国際中医薬膳師。 著書に「季節の手づくりジャムの本」、「家族ではじめる、小さなカフェ」などがある。東京の郊外に建てたWBハウスで、月に1日だけオープンする「cafe mel」を営む。
https://www.cafemel.com/
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